佐倉の家

 

 

□ONとOFFを楽しむための移住

敷地は都心から1時間ほどしか離れていないのに懐かしい景色が色濃くのこる場所。都内で働きながらも、OFFの時間を充実させたいと田舎暮らしを望み「移住」を決めた家族のための住宅である。子供と大型犬2匹と共に庭遊びや庭仕事の時間を楽しむ暮らしを実現するための300坪以上の土地を探し、農家づくりの家々が町並みを形成する市街化調整区のこの土地を見つけ計画がスタートした。

 

□差掛屋根と土間でボーダレスにつなぐ内と外

田舎暮らしを楽しむために、内と外の行き来をストレスなく繋げられないかと考え、庭との境界にはリビングと同じ広さの「差掛け屋根」のテラスを設けた。庭に出るのが楽しくなるようなテラスとしたく、光を透かすポリカーボネイト板と影をつくる木製ルーバーで構成し、どの季節でも使える明るい半屋外空間とした。網戸や枠などの窓廻りのディティールも消し、床は室内とつながるモルタルの土間とした。内外をつなぐ拠点として、犬も人もボーダレスに出入りできるような環境を作っている。広い敷地は、時間をかけて施主が自ら開拓をしながら作っていく事になった。現段階では、施主がセルフビルドした道具小屋(BESS)と、芝の庭が出来上がっている。井戸水を汲上げている水場や、薪や竹を加工する木工場、廃材を燃やす焚木場など、いくつかの拠点をもって、今後は犬のためのドックランやバーベキューテラス、畑などを楽しみながらつくって行く予定である。

 

✳︎「住宅特集」2021年8月号 掲載
✳︎「I’m home.」2022年5月号 掲載
✳︎「HOUSING」2022年12月号 掲載

 

建築   奥野公章建築設計室  担当 / 奥野公章、小柳綾
構造   我伊野構造設計室   担当 / 我伊野威之
施工   かしの木建設株式会社

所在地  千葉県佐倉市
主要用途 専用住宅
敷地面積 1,476.70㎡
建築面積    164.36㎡
延床面積    157.26㎡
規模   木造平屋建て
撮影   中山保寛写真事務所 中山保寛
竣工   2019年