甲府盆地の気候と、広い敷地を活かした地方都市ならではの賃貸住宅のあり方として庭付き一戸建てのような居住性を追求した8軒長屋である。「低層におさえることで周辺の街並や山並の風景と同化」させ「中庭を設けることで安心して自然環境を取り込む」ことができる空間をもった共同住宅である。全住戸とも屋根付き駐車場と二つの中庭のあるプランにて構成している。大きなボリュームとなる各戸を効率よく並べるために「左右反転」プランの2戸を一組として「上下反転」させながら連続させることで全体を構成し、敷地の間口を最大限に利用した平面計画としている。各住戸には各々の居室に面する2つの中庭を設けた。この中庭は内→外が連続する奥行きのある空間をつくるばかりではなく、防犯性を確保しつつ通風や採光を確保でき、日照率が高くまた朝夕が涼しい甲府盆地の気候を十分に利用できる空間となっている。シンプルな短冊状の平面や、天井高さのあるボリュームのあるスケルトンをつくることで、将来的なプログラムの変更や土地まで含めた分譲にも対応する可変性を兼ね備えた計画である。
建築 担当/奥野公章
構造 間藤構造設計室 担当/間藤早太
設備 長谷川設備計画 担当/長谷川博
施工 日経工業株式会社
所在地 山梨県昭和町
用途 長屋
敷地面積 1638.72m2
建築面積 977.66m2
延床面積 1046.76m2
規模 RC造2階建
撮影 牛尾幹太
竣工 2013年